04 いやな夢 

 にんじんは泊り客を好まない。かれらはにんじんを追っぱらってベッドを占領し、いやでもかれを、母親といっしょに寝るようにしてしまうからである。ところで、かれには、昼は昼で、ありとあらゆる欠点があるとすれば、また夜には、とくに、いびきをかくという欠点がある。ひょっとすると、わざといびきをかいているのではあるまいか。


 八月とはいえ、ひやっとする大きなへやには、ベッドが二つおいてある。ひとつはルピック氏のものだ。そして、いま一つのものには、にんじんが、母と並び、それも、奥のほうで寝なければならない。

 眠り込む前に、かれは毛布をひっかぶってなんども軽い咳をする。喉にひっかかるものを取り除くためだ。だが、もしかすると、かれのいびきは鼻のせいではないだろうか? かれは、鼻の孔がつまっていないことを確認するために、静かに空気を入れてふくらましてみる。また、けっしてあまり強く呼吸をしない練習をしてみる。

 それなのに、眠るやいなや。かれはたちまちいびきをかいてしまう。どうにもならぬことらしい。

 たちまち、ルピック夫人が、かれのお尻のいちばん丸々としたところを、血がにじみ出るほど、爪を立ててつねる。彼女は、とくに好んでこの方法を活用する。

 にんじんの叫び声に、ルピック氏ははっと目をさまし、たずねる。

 ――なにかあったのか?

 ――いやな夢でもみたんですよ、とルピック夫人は答える。

 そして彼女は、乳母のように、子守唄をひとくさり、小声で歌ってみせる。それはどうやら、インドのものであるらしい。

 にんじんは、壁に額と脚を、まるでそいつを打ち破るかのように押しつけ、お尻の上に両手をぴったりとかぶせる。泰山ひとたび鳴動すれば、たちまちやってくる爪の一刺を守るためだ。


にんじんはふたたび大きなベッドのなかで眠る、母と並び、奥のほうに身を横たえながら。