ねがぽじ 〜お兄ちゃんとよばないで!〜  (ACTIVE)




子どもができたら[まひる]と名付けていいですか?



えっと。

そういうわけで、まひる・愛。

妹のひなたも、愛。


いやしかしあえて苦言から申しましょう。内容以前の問題で、誤植が多かったです。
フルボイスだからさほど気にさわりはしなかったものの、文章がよろしいだけに、非常に惜しい。
それに主にまひる視点でストーリーが進むものの時々相手の女の子にスイッチする、この切り替えがいまいち唐突で、とまどう箇所もありました。
が、全体的に読み応えのある文章です。
マンガっぽくさくさく読みたい人にはちと重いかもしれません。

それと設定のあまさ、あやふやさがこのゲームの格を決定的に落としています。
最初の更衣室の場面で、まひるが『あたしの愛らしい突起物』と言っていることからも、男根の存在は認識していたでしょうに、退院して一人暮らしをはじめた朝に突然、朝勃ちにたいして《いやすぎる〜っ》なんて何を今更でしょう。
こういう些細な挿話にも見られるように、重要な問題であるはずの『まひるの体はいつから男になったのか?』『男だと宣告されたまひるが、イジメを受けながらも女の姿をしつづけるのはどんな想いからなのか?』の扱いが雑です。その辺をもう少しまひるに語らせてほしかったですね。


実に惜しいなあ、と考えずにはいられません。

あの『KANON』を超える可能性すら持っていた、と言えば持ち上げすぎでしょうか。

学校でのイジメ問題や、ジェンダーの問題などを内包しつつ、《まひる》という、優しい《溶けない雪》を描いた一大ドラマになりえたのでは、と。

男と判明しても能天気に女の子の姿で登校するまひる。

仮にまひるが男の格好をしても、やはり《排斥》は起こったでしょう。

それが、《異質》なものへの大多数の反応。

もしも私がまひるだったら?

男の姿で登校したでしょう。

何に対してだかわからぬ敗北感と屈辱感と、そして無力感を胸に押し隠しながら。

だけど《まひる》は《まひる》であろうとした。

能天気に。

『なんとかなるよっ』

最強の笑顔で。

史上最強の微笑みで。

そして一人、傷ついて、

『いたた・・・』

と胸を抱えてうずくまる。

『自分がつらいってことに、気がつかないことがあるからね・・・まひるは』

妹のひなた。

『あいつって通り魔みたいよね。幸せの通り魔。
 勝手に人を元気づけて、パタパタと走り去っていくの』

美奈萌の呟き。

まひるが女の子だったときからすでに恋心を抱いていた香澄。

やはり好意を持ちながら、そのうち性別などどうでもよくなったと言い放つ透。

そう、男でもかまわないと豪語する男性ファンが多いのも、不思議ではありません。

まひるの、痛みを受けてなお純粋であること、その強さ、優しさ。

人として、愛おしいと思います。



で、18禁な部分についてもふれておきましょう。
まずは美奈萌ちゃん。
まひるが男だって、すっかりわすれてました。
なんかもう女子校の百合な世界を垣間見るような思いでクリックしてたので、ホテルに誘われたときはかなりびびりましたよ。

だって。

えっ?えっ?えっ?えっ?
どゆことどゆこと??
やっ
やっちゃうんですかぁぁぁ!?
いれちゃうんですかぁぁぁぁ!?
あー………

これってスタッフは女性ですか?

これまでプレイしてきたギャルゲーでは必ず必ずパソコンに向かって
「そんなわけあるかぁっ!」
「早すぎるわい!『もういいだろう』ってんなわけあるか!!」
「この仮面チェリーボーイがぁぁぁ!!」<?
と吼えていた場面です。
他にも便秘気味の美奈萌ちゃんがその気配を逃さずトイレに行くあたりとか、妙なリアリティがありましたね。
結局はまひるが学園を去ることになったラストは純然たるハッピーエンドではないかもしれないけど、親友と恋人が残ったという意味では、ベターエンドだった、とでもいいましょうか。
透の「わがままだ」という台詞、その真意がどこにあったかハッキリしないのが難点。

次ぎに小鈴ちゃん。
小鈴ちゃん……
いやもう耳年増なんだからっ(つんつん)
正上位じゃカエルみたいとためらうまひるに、後背位を提案するなんて。
いやもう可愛くてたまりません。
そしてお守りにしていたピンマイク。
お約束すぎるスイッチ切り忘れ。
いーですいーです許しちゃう。可愛いから許せちゃう。
美奈萌の時も感じましたが、このゲームの女の子たちは最初から好感が持てますね。
まあ他のギャルゲーでも、最初に感じる「いかにも男性が頭の中でこねくりあげた女の子」感や、それにともなう「うざったさ」も話が進むにつれ慣れてしまって、薄れていくんですけどね。
この点はBLゲームで男性が男の子キャラに感じる違和感と相似形なんでしょうか。
深いですね深いですね。

そして、香澄。
BADENDでは透のまひるへの想いがわかったり、香澄の強いところが見られたりして、なかなか好きです。

しかし、TRUE END。
もうまったくこれは別ストーリーです。
天使の生体とかひなたの位置づけがやはり不明確だとか、『なにか固いものが…』どころじゃなくそりゃ痛いって!爪じゃなくて舌使いなさいよ!<えっ 
とか、言いたいことは色々ありますけど。

ラスト。私は好きです。

最後のまひるの姿は香澄の幻覚なのかそれとも…

各人各様の解釈ができる、そんなラストはやはり秀逸だと思います。
だから、あえてここでは、私の解釈は記しません。
それは私自身の中でも、ゲーム終了直後と今とでは解釈が違うし、再プレイしたときにはまた違う解釈をするかもしれないから。

語り合うのはやぶさかでないけれど、
想いって、文字にしてしまうと少し頑固になるんですよね。

しばらくは、幸せな結末と悲しい終わりとの間を漂っていたいから。

こどもができたら、[まひる]と名付けていいですか?





ちなみに【ねがぽじファンディスク〜ひとつ屋根の下で〜】については、ひなたちゃんが最高に愛らしい。
「先っぽからやすりで削り落としてやる」
なんて、んもう、可愛いですね〜。
あと基本的にレイプ嫌いの委員長ですが、最後のまひるの、
「へい、ケツかも〜ん!」
これに救われました。
いけ!透!ここで受け入れなきゃ男じゃない!
そのためにワセリン身につけてたんでしょっ<違
でも麻雀は最悪。
どうしても麻雀やらせたかったんなら、きちんとねがぽじの世界の中で構築してほしかったです。




HPトップへ戻る     ゲームのメニューへ戻る